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ウール着物の広告(「主婦の友」1965年10月号)

着物の歴史
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この記事では「主婦の友」1965年10月号からウール着物の広告を紹介しています。

すでに当時は日本の絹織物産地がほぼ解体し着物の着用者が減っていました。

近世末にウール生地が輸入されて以降、ウール着物はじわりと日本へ浸透していきました。絹よりも染めた雰囲気が新鮮だったようです。

「主婦の友」にかぎらず、この頃の女性雑誌には着物特集に絹(実はポリエステルかも)を載せ、特集間の広告にウール着物を掲載することが多いです。

ウール着物の広告(「主婦の友」1965年10月号)

さっそく特集間の広告を拾っていきます。

憩いのひととき(しょうざん)

憩いのひととき(しょうざん)。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号、46頁。

リード文要約

リード文をまとめると次のとおりです。

女性着物はしょうざんの織鹿子、男性着物はしょうざん結城。

生活の多様化で洋服を着て和服を着る日常生活。文明が高度化するにつれて和洋混乱生活を上手に仕切って多様に生きていきます。

動中の静・多忙さのなかの落ちついた憩い、茶の湯に似て和服も現代の暮らしのなかでいっそう普遍的に豊かな色どりをそえて人生を楽しくしてくれます。

生地は「しょうざん」がとくに選んだウールの最高級品。晴れの外出着・くつろぎ着として幅広く着られます。

会社の所在地は京都市北区衣笠鏡石町。

リード文批評

やはり洋服の一言を書かないと和服を語れない呪縛。

高度な文明は洋服と和服の二刀流だと限定していますが、この二分法が当時の多様性。

茶の湯が憩いになっていて、あたかも一般的な家でしているような日常を描いています。

新しい魅力をつくる(いせさきウールきもの)

いせさきウールきもの。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号、56頁。

新しい魅力を作る伊勢崎のウール着物。

1920年頃には伊勢崎銘仙という格安絹織物を桐生や足利などにも委託生産させて全国ブームをつくりあげていました。

リード文要約

落ちついた色調に見いだすモダンなセンス。この秋の新柄です。

いせさきウールきものは全国一のかすり(絣)技術。繊細な手織りの風合い、軽やかな着心地で定評あり。

色柄も豊富。いせさきウールきものならではの作品。室内着にも外出着にも気軽に着られます。

リード文批評

手織りとはどこまで手で織っていたかを知りたいところ。力織機でも手を使うので、20世紀初頭のお織物業の機械化を目視したかどうか。

それにしても、どの広告を見ても自分の地域や企業が全国一の技術だと言っているところ、2位が存在しないということになります。

プロ野球でいえばセリーグ、パリーグ全チームが1位。

広告主は伊勢崎織物協同組合。IWS(国際羊毛事務局)の支部を兼ねています。品質表示をみるとけが90%で絹が10%。

秋の流行をリードする(からく織)

秋の流行をリードする(からく織)。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号、60頁。

リード文要約

中柄の着やすい柄を崩した着物が今年の流行。

この流行に便乗した「からく織」のウール着物2点。

左が網代調を現代的な感覚で表現、右がたくさんの色が見える優美さを自慢。

秋の外出着として着られる力作。

広告主は京都西陣、山琢織物。

リード文批評

モダンでも近代でもなく、「現代的な感覚」と表現。

右の着物にたくさんの色が見えるとありますが、私には単調な2色に見えます…。

秋のきものと帯ウール

秋のきものと帯ウール。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号、62頁。

この写真だけ広告ではなく記事です。

リード文要約

右の女性(格子ウールのきものと八寸名古屋帯)

洋服を着なれた女性でも無理なく着られます。家庭着(室内着)や少しの外出着などに上部で経済的な着物です。帯は菱模様の袋名古屋帯。

着物が4900円で、帯が5300円。提供は着物が丸善織物で、帯が「やましろ帯」。

左の女性(矢がすりウールと袋名古屋帯):今年は矢絣復活の兆しがあるとか。同じ矢絣でも色遣いの美しさが新しい着物です。お召しに近く一見ウールとは思えない感じ。帯は矢絣のなかの一色を自色にしたもの。

着物が7000円ほどで、帯が3300円。提供は着物が伊勢崎織物協同組合で、帯が「やましろ帯」。

リード文批評

右が格子ウールの着物。

他の広告でもそうですが、室内着と少しの外出着をあわせて宣伝する発想が目立ちます。

洋服に着なれた女性でも着物を着られるとうたっていますが、姿勢の問題でしょうか…。着やすさでしょうか…。

左が矢絣ウール着物。

矢絣とは矢羽根をデザインにした模様絣のことで、ネーミングの発想がダーツと同じで面白いです。

一見ウールとは思えないと書いていますが、絹とポリエステルとウールとでは、見た目で違いがわかるものなのでしょうか。現代人には厳しい視力を1960年代人はもっていたようです。

西陣ウール御召(モデルが藤村志保)

西陣ウール御召(モデルが藤村志保)。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号。

リード文なし。

西陣毛織工業組合がIWS国際羊毛事務局の支部を兼ねていそうな文面。

広告主は着物が「趣芸織の丸善織物」で帯が「じゅらく帯」。「主婦の友」代理店でも販売しているとのこと。

さわやかな着ごことに優雅さが加わります(ウールマーク)

さわやかな着ごことに優雅さが加わります(ウールマーク)。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号。

広告主はIWS、国際羊毛事務局で、東京都港区赤坂局内に私書箱をもっていました。

この事務局は1998年から「ザ・ウールマークカンパニー」と改称。公式サイトはこちら。

リード文要約

着心地の出発点。ウールマーク製品は着心地が出発点で、身につけた瞬間に「それ」と分かります。

フィーリングがまるで違います。爽やかでソフト、コシのある独特の風合いは仕立てあがりが美しく、あなたの個性が思いのままに楽しめます。オール・ニュー・ウールだからです。

オール・ニュー・ウールは刈りたての羊毛が初めて製品になったもので、新鮮さが生命の高級ウール。

それも100%。まじりけなし。

製品はいつも一定の国際品質基準によって正しく管理されています。ウールマークはその合格の印。

世界90数カ国全部で共通しています。

このマークを目印に安心して高級ウールを購入してください。

このマークは、洋服、生地、ニット製品、手編み毛糸、毛布などについています。

リード文批評

私の小さいころにテレビでも紙媒体でもよくみかけた広告です。

本物=ウールマークという偏見をもってしまっていて、よくクラスメートと本当とか本物とかをいうときに「ウールマークか」と冗談を言ったものです。

このマークがないウール製品はダメという偏見につながりましたね。

リード文を読むとイギリスあたりのウール組合が排他的にグローバル経済のスタンダードとしていた「基準」です。

着物もまたグローバルスタンダードの餌食となっていたわけです。織物や着物の組合がIWSの支部となっていたのですから。

あなたも、わたしも…ウールのきもの(八王子紋ウール)

あなたも、わたしも…ウールのきもの(八王子紋ウール)。「主婦の友」主婦の友社、1965年10月号、67頁。

リード文なし。

広告主は八王子織物工業組合。

この組合もIWS登録しています。

まとめ

売れなくなった着物や織物をIWSにすがりついたという1960年代とまとめられるでしょうか。

おすすめ本(読みごたえ重視ランキング)

日本人のすがたと暮らし

近代化における日本人のすがたと暮らしの実態をテーマ別に洞察した本です。大正ロマン、昭和レトロ、近代日本人の生態など、近代の着物ライフを知るのにもってこいです。近代日本のファッション歴史を学ぶ最初に読むべき本です。とりあげたテーマは245項目にわたります。1項目は約2頁で収められているので読みやすいです。

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